逆再生に隠された真意！バックワード・マスキング（リバース・スピーチ）

バックワード・マスキング（リバース・スピーチ）という言葉を聞いたことがあるでしょうか？

バックワード・マスキングとは、録音した音声を逆再生することにより、特定の意味を持つ言葉に聞こえさせる手法です。音楽の世界でも、この手法を利用して歌詞とは異なる意味を持たせることがあります。時にはバックワード・マスキングで伝えられるメッセージから、アーティストの真意が読み取れる場合もあるようです。それでは、いったいどのような真意が逆再生に隠されているのでしょうか。

ここでは、バックワード・マスキング（リバース・スピーチ）についてご紹介します。

始まりは黒魔術

19世紀末から20世紀にかけて活躍したアレイスター・クロウリーという黒魔術師がいます。クロウリーはさまざまな黒魔術の研究や記録を残し、その成果は現在の黒魔術の基盤を築きました。「バックワード・マスキング」という言葉は、彼の魔術書の中に登場する言葉です。

クロウリーは民衆にあらゆる動作や考えを逆に行うようにすすめ、そしてレコードを逆に回転させて聞くことを、未来を見る手段として広めていました。

また、クロウリーの思想は数多くのロック・ミュージシャンに影響を与えており、中には行動や楽曲にもクロウリーの影響が見られる場合もあります。

ビートルズが隠したメッセージ

皆さんは「ビートルズ」をご存知でしょうか。おそらくほとんどの方が名前を聞いたことはあるでしょう。ビートルズは黒魔術やオカルトなど、神秘的な思想の影響を受けたミュージシャンとしても有名です。

アルバム「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」のジャケットにはクロウリーの顔が写っており、ビートルズはクロウリーの影響を強く受けていると言われています。

また、彼らは曲中にバックワード・マスキングを利用しており、逆から音楽を再生するとミステリアスな内容に聞こえるような曲作りもしていました。例えば、「Revolution 9」という曲では随所で「ナンバーナイン、ナイン、ナンバーナイン、ナイン・・・」と不気味に繰り返されます。この部分を逆再生すると「Turn me on, dead man, turn me on, dead man（死人を生き返らせてくれ）」と聞こえるのです。

ビートルズが何を意図したのかは定かではありませんが、曲を逆再生することにより隠されたメッセージを聞くことができることは確かです。もしかしたら、そのメッセージこそが彼らの真意であるのかもしれません。

リバース・スピーチは広い分野で応用されている

デイヴィッド・ジョン・オーツという逆再生メッセージの研究家がいます。彼は、音声を逆再生した際に、バックワード・マスキングのように人為的ではなく、「自然に」特定の意味をなす言葉が現れることを発見しました。

扱った音声素材は会話やスピーチなど、音楽ではないものも含まれます。そして音楽以外の音声においても、逆再生した際に何らかのメッセージを確認されました。彼は、この現象を「リバース・スピーチ」と名付け、さまざまな研究を行っています。

リバース・スピーチは本来発言しているものとは逆の内容になっていることが多く、潜在的なレベルで本音を表現していると言われています。

この原理を応用することで人の深層心理を探ることが可能となり、医療分野における心理療法やカウンセリングなどの他、自己啓発の決断を下すツールとしても活用できるでしょう。実際にアメリカやオーストラリアではリバース・スピーチの技術を発展させ、うそ発見器として犯罪事件の捜査活用に応用されています。

おわりに

バックワード・マスキングは、音楽において真意を隠したメッセージとして伝える際に利用されています。この手法は人為的なものであり、技術といっても良いでしょう。

一方でリバース・スピーチは、人が心に抱えている本音（無意識）が顕在化したメッセージであるといえます。逆再生することにより人の深層心理を判断できるという点で、悩みを持った方や犯罪者の心理カウンセリングなどへの応用が期待されるでしょう。